見るだけ客を購入者に!閲覧履歴を活用したコンバージョン向上術
商品を見ただけで離脱する95%の訪問者を追いかける。閲覧履歴データを活用したリマーケティングで購買率を2倍にする方法。
ECサイトの95%の訪問者は「見るだけ」で帰っていく
閲覧履歴を活用してコンバージョンを向上させる手法を解説する図解
ECサイトを運営していると、日々多くの訪問者がサイトを訪れます。しかし実際に購入に至るのはわずか2〜5%。残りの95%以上は商品を見ただけで離脱しています。中にはカートに商品を入れたのに購入しなかった「カゴ落ち」も含まれますが、それ以前の「閲覧しただけで離脱した」層のほうがはるかに多いのです。この「見るだけ客」を購入者に変えることができれば、売上は大幅に向上します。この記事では、閲覧履歴データを活用して離脱した訪問者を呼び戻す実践的な手法を解説します。
「見るだけ客」はなぜ買わずに帰るのか
田辺さん、私もよくネットで商品を見るだけで買わないことありますけど、理由って色々ありますよね。どういうパターンが多いんですか?
離脱の理由は大きく5つに分類できます。1つ目は「まだ検討段階」。いくつかのサイトを比較していて、今すぐ買うつもりはない。2つ目は「不安が解消されていない」。サイズ感は?品質は?本当に必要?という疑問が残っている。3つ目は「価格で迷っている」。欲しいけど今の値段では決め手に欠ける。
4つ目は「単純に忘れた」。電話がかかってきた、他のことに気を取られた、後で買おうと思ったまま忘れた。5つ目は「決済の手間」。会員登録が面倒、入力項目が多すぎるなど。この中で最も多いのは「検討段階」と「忘れた」で、合わせて60%以上を占めます。
「忘れた」が多いのは前回の離脱防止の記事と同じパターンですね。思い出してもらうだけで買ってくれる可能性があるってことですよね。
閲覧履歴データを活用したリマーケティングの基本
ミナト雑貨店でLINEの閲覧履歴を活用しておすすめ商品を紹介する様子
その通りです。ここで「ブラウズリカバリー」という手法が効いてきます。お客様が閲覧した商品の情報を活用して、後からリマインドのメッセージを送る方法です。ECサイトの広告では「リターゲティング広告」として一般的ですが、LINEを使えば広告費をかけずに実現できるんです。
LINEでどうやるんですか?お客様がどの商品を見たかなんて分かるんですか?
LINE公式アカウントとECサイトを連携させることで可能になります。具体的には、LINE友だちのIDとECサイトの会員IDを紐づけることで、「この友だちがこの商品ページを閲覧した」という情報を取得できます。ToolsBoxのタグ機能を活用すれば、閲覧した商品カテゴリの情報を自動でお客様に紐づけることもできます。
効果的なリマインドメッセージの作り方
閲覧履歴に基づくリマインドメッセージには、守るべきルールと効果を最大化するコツがあります。
「さっき見てた商品ですよ」ってメッセージが来たら、ストーカーっぽくて怖くないですか?
そこが非常に重要なポイントです。直接的に「この商品を閲覧しましたよね」と言うのはNGです。代わりに「○○カテゴリの人気ランキング」「お客様へのおすすめ商品」といった形で、自然に閲覧していた商品を含めて提案するんです。「あなたの行動を監視しています」ではなく「あなたに合いそうな商品がありますよ」という見せ方にする。
具体的なメッセージ構成のコツは3つあります。1つ目は「パーソナライズ感」。お客様の名前とカテゴリの好みを反映させる。2つ目は「社会的証明」。「この商品は今週○人が購入しています」と人気度を示す。3つ目は「緊急性」。「在庫残りわずか」「今週末まで送料無料」と今すぐ行動する理由を提示する。
タイミング別のリカバリー戦略
メッセージを送るタイミングも大事ですよね。閲覧した直後がいいですか?
タイミングは商品の種類と価格帯で変わります。低単価(3,000円以下)の日用品なら1〜3時間後がベスト。衝動買いに近い商品は時間が経つほど購買意欲が薄れます。中単価(3,000〜30,000円)の商品は24時間後が効果的。比較検討の時間を与えた上で、ちょうど忘れかけたタイミングでリマインドする。
高単価(30,000円以上)の商品は3〜7日後。検討期間が長い商品は、すぐにリマインドしても効果が薄い。むしろ追加情報(レビュー、使用例、比較ガイド)を提供して、判断材料を増やすアプローチが効きます。
- 1〜3時間後:低単価商品のリマインド「お忘れものはありませんか?」
- 24時間後:中単価商品のレコメンド「あなたにおすすめの商品」
- 3〜7日後:高単価商品の追加情報「購入者のレビューをご紹介」
- 14日後:全商品共通のフォローアップ「まだお探しですか?限定クーポン」
カゴ落ちとブラウズ離脱の違いと対策
カゴに入れたけど買わなかった人と、商品を見ただけの人では対策が違いますか?
全く違います。カゴ落ち客は購買意欲が高いので、「カートに商品が残っています」というストレートなリマインドが効きます。回収率は5〜15%と非常に高い。一方、ブラウズ離脱客は購買意欲がまだ低いので、直接的な売り込みよりも情報提供や社会的証明で徐々に購買意欲を高めるアプローチが必要です。
ToolsBoxのシナリオ機能を使えば、カゴ落ち客とブラウズ離脱客で異なるシナリオを自動実行できます。カゴ落ち客には1時間後にリマインド、ブラウズ離脱客には24時間後にレコメンド──こういった細かな出し分けが自動で可能になるんです。
プライバシーに配慮したデータ活用の作法
閲覧データを使うとなると、プライバシーの面で気をつけることはありますか?
非常に大事なポイントです。3つの原則を守ってください。1つ目は「透明性」。プライバシーポリシーにデータの利用目的を明記すること。2つ目は「オプトアウトの提供」。お客様がメッセージ配信を停止できる手段を必ず用意すること。3つ目は「価値の提供」。お客様にとって有益な情報として届けること。データを使うのは「お客様のため」であり「売上のため」だけではないという姿勢が信頼につながります。
お客様のためになる使い方をすれば、むしろ感謝されるってことですね。最初の一歩として何をすればいいですか?
まずは「カゴ落ちリマインドの自動化」から始めてください。これが最も効果が高く、設定も簡単です。カートに商品を入れたまま1時間以上経過した友だちに自動でLINEメッセージを送る。これだけでEC売上が5〜10%向上するケースは珍しくありません。その次のステップとして、閲覧データを活用したレコメンド配信に進むのがおすすめです。
「見るだけ客」は決して「買わない客」ではありません。適切なタイミングで適切な情報を届ければ、購入者に変わるポテンシャルを持った「未来の顧客」です。閲覧履歴データの活用は、その眠れるポテンシャルを呼び覚ますための鍵なのです。
田辺一雄
株式会社エムディエス代表取締役 / ToolsBox代表。起業25年目。日本商工会議所青年部 元副会長・元広報委員長。FM福井ハイライトフライデー「教えてたなっちなかっち」出演中。中小企業のLINE公式アカウント活用やマーケティング自動化を支援しています。
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